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マーケティング行動心理学

ヒックの法則とは?ユーザーの負担を減らすWebサイト制作

ヒックの法則とは?ユーザーの負担を減らすWebサイト制作

ヒックの法則は、選択肢の数が増えると人の意思決定にかかる時間も増えるという法則です。
この記事ではヒックの法則の意味や「ジャムの実験」について解説します。
最後にUXに携わっている方に向けて、Webサイト制作でヒックの法則を応用した事例も紹介します。

1. ヒックの法則とは?公式を解説

1. ヒックの法則とは?公式を解説

ヒックの法則の概要と由来

ヒックの法則とは、選択肢の数と、人が意思決定をするまでの時間の関係性を表した法則です。
2つの選択肢を最小とし、3つ・4つ・5つと選択肢が増えていくほど、ユーザーの意思決定にかかる時間は増えていくと言われています。

さらに、選択肢が過度に多いとユーザーは選ぶことをやめてしまう事態につながります。
(この現象について実験した「ジャムの実験」について、後で詳しく解説していきます。)

ヒックの法則は、ジャムの法則と呼ばれることもあります。スーパーのジャム売り場で実験されたことが由来です。

ヒックの法則は、1951年にイギリスの心理学者のウィリアム・ヒックが提唱しました。その後、アメリカのレイ・ハイマンが発展させたと言われています。

ヒックの法則の公式

ヒックの法則は公式から、人の意思決定を決める時間を求めることができます。

公式 RT=a+b・log2(n)

RT=反応するまでの時間
a=意思決定を除く所要時間
b=意思決定にかける時間の数
n=等しく可能性のある選択肢の数

ヒックの法則は、選択の煩雑さを解消して最後まで意思決定するにはどのようにするとよいかのヒントになります。

事例を参考に、詳しく解説していきます。

2. ジャムの実験

2. ジャムの実験

ここから、ヒックの法則の事例として紹介されることが多い「ジャムの実験」を紹介します。

コロンビア大学のシーナ・アイエンガーは著書『選択の科学』(文芸春秋)で、ジャムの購買行動を観察する興味深い実験を行いました。

あるスーパーで、2つのジャムの試食コーナーを作りました。
(1)24種類のジャムを用意
(2)6種類のジャムを用意

このとき(1)と(2)で試食した人のうち、それぞれどれだけの割合の人が購入に至るか、という実験です。

(1)はジャムの種類が豊富なので、ユーザーの細かいニーズに対応していると言えます。
24種類のジャムを試食できることはなかなかないとメリットに思う人もいるでしょう。

しかし、実験の結果は(2)のコーナーで試食した人の購入率が、(1)の購入率の10倍となったそうです。

実際はスーパーの陳列方法やジャムの製品内容などの状況にもよるので、一概には言えません。
ただ、選択肢が多い方が必ずしも購入に繋がりやすいわけではなく、場合によっては選択する意欲がなくなってしまうことが実証されたのです。

3. 日常生活でヒックの法則が働く場面

情報が整理されていないと意思決定までが大変

日常生活でもヒックの法則が働く場面があります。財布の購入を例に解説します。
例えば、お店で財布を購入する時、財布がワゴンの中にぎゅうぎゅうに入っていたらどうでしょうか。

情報が整理されていないと意思決定までが大変

ワゴンを見ただけでわかる情報は、財布の色やデザインのほんの一部だけです。
このような陳列方法だと、パッと見て、商品特徴がわかりません。

財布を購入するには、「お金を持ち歩く」という機能面の情報を確認する必要があります。
二つ折りの財布なのか、長財布なのか。小銭入れはチャックタイプか、がま口タイプか。
手に取らないとわからない情報があります。
それだけ、たくさんの財布を手に取った上でないと意思決定ができないということです。

種類別分類で選択の負担を軽減

もし、色・サイズ・機能ごとに棚に並んでいたらどうでしょうか。
自分の求めるタイプの財布がある棚だけをチェックすればいいので、意思決定はぐっと楽になります。(例えば、以下のようなカテゴリーのグループで分けてみます)

二つ折りの財布

●小銭はチャックタイプ
・黒色の財布
・茶色の財布

●小銭はがま口タイプ
・青色の財布
・柄物の財布

長財布

●小銭はチャックタイプ
・黒色の財布
・茶色の財布

●小銭はがま口タイプ
・青色の財布
・柄物の財布

さらに、「おすすめ」というPOP(ポップ)が商品の横にあったらどうでしょう。
おすすめされた数点の商品だけを見て、その中から財布を購入することも可能です。

ユーザーが購入を決定するまでの時間を短くするために、商品情報を整理して伝えることが大切です。
何か商品を購入する時、人は思っている以上に様々な意思決定をしているので、できるだけ負担をかけない選択肢を提示することが重要になります。

4. ヒックの法則を考慮したWebサイト制作事例

では、具体的にWebサイト制作の場面で活用できるヒックの法則について解説します。
「ユーザーがスムーズに選択できる導線作り」がポイントです。実際の事例から見ていきましょう。

BEAMS

ファッションブランドのECサイトは、ユーザーの欲しいアイテムがジャンルごとにすぐに辿り着ける導線になっています。

BEAMSのWebサイトを事例に見てみます。

大カテゴリーから選択する階層型

BEAMSのアイテム選択画面は、まず上部にメンズ・レディース・キッズと大きな分類で、そこから下はアイコンと共にアイテムのジャンルごとの選択でページ内に入っていけるようになっています。(注1)

BEAMS

このメニューからジャンルを選ぶと、次のページでさらに詳しいカテゴリー、ディテール、ブランドを選択できる階層型になっています。
いきなりすべての商品を並べて選ばせるのではなく、1回1回の選択肢数を抑えてアイテムを絞り込んでいくことで、意思決定の負担を減らして離脱を防ぐ工夫です。

Amazon

カテゴリーをずらりと一覧で表示しつつ、意思決定の負担を減らす工夫をしているWebサイトもあります。

Amazonの「本(和書)」のジャンル一覧のページです。(注2)

Amazon

Amazonの商品一覧ページは、アイコンや画像を用いずテキストだけでカテゴリーを掲載して、ユーザーが一目でカテゴリー全体を俯瞰できるようになっています。

しかし、膨大なカテゴリーを淡々と並べるだけでは、選択肢が多すぎてユーザーが意思決定を放棄してしまう恐れがあります。

そこで、カテゴリーを2階層に分け、大カテゴリーを太字にして、文字を大きく表示して直感的にカテゴリーごとの区切れがわかるようにすることで、選択肢を少なく見せる工夫をしています。

自社の商品やサービスをWebサイトに掲載する際には、どのように見せるとユーザーの負担を軽くできるか、よく検証する必要があります。

参照
注1)BEAMS公式サイト(2022年1月21日)
注2)Amazon公式サイト(2022年1月21日)

5. ヒックの法則とは?ユーザーの負担を減らすWebサイト制作まとめ

ヒックの法則は、人は、選択肢が多ければ多いほど、意思決定に時間をかけてしまうという法則です。
この記事では、ジャムの実験で見られた事例をはじめ、購入の際に選択肢が多すぎると購入を見送ってしまう可能性も出てくることについてもお話ししました。

ユーザーの意思決定を速くするためには、選択肢を少なくする、少なく見える工夫をする、もしくは1回の選択肢を少なくする工夫が必要であることがわかりました。
これからWebサイトを制作する際には、ヒックの法則を意識してみましょう。

6. UX戦略支援サービス「DESIGN α」について

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また、DESIGN αを運営する株式会社リオは、調査やUX戦略支援だけでなくWebサイト制作・運用やシステム・アプリ開発、システム運用がワンストップで可能な会社です。

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