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UI/UXリサーチ / 戦略設計

BtoB企業でカスタマージャーニーマップを作成する場合は?BtoCとの違いから作成に使えるツールまで解説

BtoB企業でカスタマージャーニーマップを作成する場合は?BtoCとの違いから作成に使えるツールまで解説

カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動や感情を可視化し、理解するためのフレームワークです。一般的にはBtoC向けを想定したカスタマージャーニーマップが多く、BtoB企業の場合は少し異なる視点やアプローチで作成する必要があります。
本記事では、BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成する際のメリットや注意点、BtoCとの違い、作成の流れ、成果に繋がる作成のポイント、そして作成に役立つ便利なツールまでをご紹介します。

【DESIGN α】BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート

BtoBカスタマージャーニーマップとペルソナ(組織と個人)がセットでダウンロードできます。

1. BtoBカスタマージャーニーマップとは?

BtoBカスタマージャーニーマップの特徴

カスタマージャーニーマップは、製品やサービスの認知から導入までのフェーズの流れを横軸に、フェーズごとの顧客の行動や思考、課題や解決策などを縦軸に配置したフレームワークです。顧客理解を深め、自社の製品やサービスを顧客の課題解決に役立てるために、BtoB事業でも活用されています。

BtoBカスタマージャーニーマップでは、顧客企業の担当者や意思決定者といった複数関係者を考慮して、製品やサービスの購買・導入、さらには継続利用までの行動や感情を可視化します。BtoBでは顧客が個人ではなく「組織」であるため、BtoCとはペルソナの考え方が異なる点がBtoBカスタマージャーニーマップの大きな特徴です。

BtoBとBtoCのカスタマージャーニーマップの違い

BtoBとBtoCカスタマージャーニーマップの違いは、「購買プロセスの長さ」「関係者の数」「より理論や実績に基づいた意思決定」にあります。

①購買プロセスの長さ

BtoB企業の購買プロセスの長さはBtoCと異なり、検討から契約に至るまで、意思決定に多くの関係者の合意が必要になります。そのため、長期的かつ段階的なアプローチが求められます。BtoC以上に各段階でのニーズや期待を明確にし、細分化されたタッチポイントを意識することが重要です。

②関係者の数

検討から購入、利用まで個人で完結することが多いBtoCと違い、BtoBは組織内の複数の担当者が関与します。そのため、ペルソナも関係者ごとに作成し、役割や影響力を考慮する必要があります。

製品やサービスをリサーチ・検討する担当者、意思決定者、実際の利用者など、組織によって重要な人物とその関係性もさまざまです。そのため、BtoBのカスタマージャーニーマップ作成は、BtoCよりも難易度が高いと言えます。

③より理論や実績に基づいた意思決定

BtoCでは、多数の個人顧客にアプローチし、短期間での購買決定を促す手法がありますが、BtoBでは関与する複数の関係者ごとのニーズや関心に応じた情報提供が求められます。したがって、各関係者の理解を深めるための詳細な分析と、信頼関係を築くために組織ごとに個別化されたアプローチが求められます。

カスタマージャーニーマップについて基礎から詳しく知りたい方は、下記のBtoC向けカスタマージャーニーマップをベースとした解説ページも合わせてご覧ください。

【無料テンプレート付】カスタマージャーニーマップで現状分析!課題出しからあるべき姿の導き出し方まで解説

カスタマージャーニーマップの具体的な作り方や活用事例を解説しています。
また、DESIGN αでは現状課題を導き出す「AsIsカスタマージャーニーマップ」と、理想のUXを描き出す「ToBeカスタマージャーニーマップ」の2種類のテンプレートを用意しています。ぜひダウンロードして課題抽出や改善アイデア出しにご利用ください。

2. BtoBカスタマージャーニーマップで押さえるべきポイント

BtoBカスタマージャーニーマップのメリット

BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成するメリットは多岐にわたります。主なポイントを以下に挙げます。

①顧客理解が深まる

BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客のニーズや行動を詳細に把握し、深く理解することが可能になります。
BtoCとは異なる複雑さを考慮しながら、複数の関係者が関与する購買プロセスを可視化し、最適なマーケティング施策を立案できます。

②社内外との連携が強化できる

社内でカスタマージャーニーマップを共有することで、部署を超えた共通理解が促進され、営業、マーケティング、カスタマーサポートなどの部門間の連携強化に役立ちます。部門間の情報共有や外部パートナーとの協力を通じて、より効果的な施策を立案し、顧客の期待に応えることが可能になります。

③顧客体験の向上に繋がる

BtoB企業がカスタマージャーニーマップを活用することで、顧客が製品やサービスに触れる最初の接点から導入後の関係維持に至るまでの各段階の現状や課題を可視化することができます。課題が明確になることで解決策や改善策の提案にもつながり、長期的な関係を構築しやすくなります。

BtoBカスタマージャーニーマップの注意点

BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成する際は、以下のような点に注意する必要があります。

①作成自体を目的としないこと

カスタマージャーニーマップの作成は手段であり、目的ではありません。
作成の目的(例:アクセス数の増加やリード獲得など)を具体的に言語化し、数値化して、その目的達成に向けて実践的にカスタマージャーニーマップを活用することが重要です。

②自社にだけ都合の良いペルソナにしないこと

カスタマージャーニーマップを作成する際は、自社にだけ都合の良いペルソナを設定しないように心掛けることが重要です。想像だけでペルソナを設定しがちですが、結果として以下のように成果を妨げる可能性があります。

・顧客のニーズや課題を正確に把握できなくなる
・効果的なマーケティング戦略を立てられなくなる
・リソース(資金や人材、時間などの経営資源)の無駄遣いになる
・チーム内の認識のズレを招く
・的外れな商品開発やサービス提供に繋がる

カスタマージャーニーマップを作成する際には、客観的なデータと現実的な顧客像に基づくペルソナ設定が不可欠です。これによって、より効果的なマーケティング戦略の立案と実行が可能となり、ビジネスの成功に繋がります。

③定期的な見直しや改善を図ること

カスタマージャーニーマップは、一度作成したらそれで終わりではありません。最初から完璧な状態を目指すのではなく、大まかな枠組みを作成し、徐々に詳細を追加していく方法が効果的です。
また、作成後も組織内の変化や顧客のフィードバックを考慮し、定期的に見直します。新たな情報や顧客のニーズ、市場の変化に応じて改善し続けることが重要です。

3. BtoBカスタマージャーニーマップの流れ

BtoBカスタマージャーニーマップの作成を時系列に沿って解説します。DESIGN αのテンプレートも提供していますので、ぜひダウンロードしてご利用ください。

BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート
テンプレート
BtoBカスタマージャーニーマップの記入例
記入例

【DESIGN α】BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート

BtoBカスタマージャーニーマップとペルソナ(組織と個人)がセットでダウンロードできます。

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順① ゴールを決める

カスタマージャーニーマップの作成には、目的に沿ったゴールを設定することが大切です。具体的なゴールを設定することで、プロジェクトの方向性が明確になります。
目的をチームで共有する際は、以下の観点から言語化し明確にすることが重要です。

  • なぜカスタマージャーニーマップが必要か
  • 誰のためのものか
  • 最終的に達成したい目標は何か

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順② 組織のペルソナを設定する

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順② 組織のペルソナを設定する

ゴールを決めたら、ペルソナを設定します。BtoB企業の製品やサービスは、導入の意思決定が個人ではなく組織に委ねられているため、課題を解決したい組織と導入に携わる個人の両方のペルソナを設定します。

以下は、飲食業を例にしたBtoB企業の組織のペルソナの例です。

<組織のペルソナ例>

  • 食品衛生管理を徹底したい中小企業
  • 顧客満足度を向上させたい飲食業

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順③ 個人のペルソナを設定する

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順③ 個人のペルソナを設定する

組織のペルソナを設定したら、次に個人のペルソナを設定します。BtoB特有の複数関係者による複雑な購買プロセスを考慮し、関係する各個人の立場や価値観をより正確に抽出することで、効果的なマーケティング戦略や営業活動、課題の解決策を立案することが可能になります。

1.設定するペルソナのポジション決定

まず、ターゲット企業の関係者の中から、どのポジションの人物をペルソナに設定するかを決定します。
一般的には最初の接点となる企業の担当者を設定するケースですが、ほかにも意思決定者やサービスの利用者、製品やサービスによっては人事や経理担当者など、必要なペルソナは多岐にわたります。
これらの役割を反映させることで、よりリアルな顧客像を描くことができます。

2.役職・権限の考慮

BtoBの購買プロセスには、意思決定に関与するさまざまな役職が存在します。担当者の役職や担当業務、裁量の範囲などを考慮することで、各段階での意思決定プロセスをより正確に把握できます。担当者を区別することで、異なるニーズや期待に応える施策を立てることができます。

3.企業文化や業界特性の反映

個人の価値観だけでなく、企業文化の影響や業界特性も重要な要素です。顧客の業界やその企業文化によって価値観は異なるため、提供するサービスや状況がニーズにマッチしていたとしても、顧客の期待に応えられるアプローチ方法が異なるケースは多くあります。
例えば、外資系企業は意思決定のスピードが速く、成果を重視する傾向があるのに対し、日本の伝統的な企業では、慎重な意思決定プロセスや信頼関係の構築が重要視される場合があります。このように、業界や企業文化の違いによって、顧客の期待に応じたアプローチ方法を柔軟に調整する必要があります。

4.複数のペルソナの設定

BtoB企業のカスタマージャーニーマップでは、ターゲットに応じた複数のペルソナを設定することが重要です。BtoBの環境では、同じ製品やサービスでも、企業や関係者の立場によって異なるニーズが存在します。役職や業種ごとに、3〜4人程度のペルソナを設定することで、多様なニーズを分析し、サービスやアプローチ方法の改善につなげることができます。

以下は、飲食業を例にしたBtoB企業の個人のペルソナの例です。

<個人のペルソナ例>
施設管理部

  • マネージャー:顧客満足を優先し、コスト管理を心がけている
  • 部長:効率性とコストパフォーマンスを重視している
  • スタッフ:清潔な職場環境を求めている

総務部

  • 経理課主任:正確性と透明性を重視し、コスト管理を徹底している

上記ではBtoBのペルソナの作り方について解説しましたが、DESIGN αではBtoCのペルソナの作り方についても解説しています。さらに詳しく知りたい方は、下記のページも合わせてご覧ください。

【無料テンプレート付】ペルソナとは? マーケティングに活かせるペルソナの作り方

マーケティングに活かせるBtoCのペルソナの具体的な作り方を解説しています。
また、DESIGN αではペルソナ作成のテンプレート資料を用意しています。ぜひダウンロードして課題抽出や改善アイデア出しにご利用ください。

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順④ タッチポイントと担当者を洗い出す

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順④ タッチポイントと担当者を洗い出す

タッチポイントの洗い出しは、顧客との重要な接点を特定して理解するためのプロセスです。顧客の購買プロセスの各段階に沿って、顧客と企業との接点をすべて洗い出します。以下は、一般的なBtoBの顧客接点の例です。

オンライン接点

  • Webサイト
  • LP
  • SNS
  • Web広告
  • メールマーケティング
  • オンラインセミナー
  • 動画コンテンツ

オフライン接点

  • 展示会
  • オフラインセミナー
  • 電話対応
  • 営業担当者との対面商談
  • 製品デモンストレーション
  • パンフレットやカタログなどの印刷物

業界やサービスにもよりますが、現代のビジネスにおいては、Webサイトや広告などのオンライン接点から始まり、検討が進むにつれて営業担当者を介したオフライン接点が中心になっていく傾向があります。

オンライン接点は主に情報収集や関心を引くための場であり、オフライン接点は信頼関係を築く重要な機会です。商談が進むにつれて、顧客企業の窓口担当者だけでなく、社内関係者(意思決定者、技術評価者など)と接する機会も増えていきます。
また、「現在自社では提供していないが、顧客が検討していそうな接点」も洗い出しておくと、将来の戦略立案に役立ち、効果的なマーケティング戦略や営業活動を展開することが可能になります。

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順⑤ 導入までの行動を洗い出す

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順⑤ 導入までの行動を洗い出す

購買までの行動を洗い出すプロセスでは、顧客のニーズや行動パターンを理解し、顧客が製品やサービスを認知してから購入に至るまでの一連の行動を詳細に分析します。

BtoB企業のカスタマージャーニーマップにおける導入までの行動は、以下のプロセスで行います。

  • 認知・興味
  • 調査・比較
  • 社内検討・決定
  • 契約
  • 導入・利用
  • サポート・継続利用

各段階での具体的な行動を洗い出します。ここでは、清掃サービスの事業を例に解説していきます。

認知・興味

製品やサービスを認知し、解決策を探し出す段階です。

〈行動例〉

  • 清掃サービスの必要性を感じ、業者を探し始める
  • 業界の関連情報を収集する
  • 口コミやレビューをチェックする

調査・比較

複数の選択肢を吟味し、内部で他の製品やサービスと比較検討する段階です。

〈行動例〉

  • 複数のWebサイトを訪問する
  • 提供サービスの内容を比較する
  • 事例や評価などを確認し、信頼性を検討する

社内検討・決定

社内で具体的な提案依頼や予算を交渉する段階です。

〈行動例〉

  • 提案された内容を評価する
  • 見積もりを比較する
  • 関連部署に確認を取りフィードバックをもらう

契約

製品やサービスを最終決定し、契約書を確認する段階です。

〈行動例〉

  • 契約書の内容を確認する
  • 契約内容を確認し、必要な情報を整理する
  • 契約締結のために署名する

導入・利用

システム導入後、従業員にトレーニングを実施し、実際にサービスを利用する段階です。

〈行動例〉

  • サービス内容を伝え、マニュアルで手順を指示する
  • サービスの利用状況を日常的に確認する
  • 清掃後の環境を評価し、フィードバックする
  • 問題が発生した場合は、上長に報告する

サポート・継続利用

導入後の継続的な利用やアップデートを検討する段階です。

〈行動例〉

  • サポートに問い合わせをする
  • 定期的に清掃サービスの利用状況を確認する
  • 契約更新や新しいサービスの提案を受け入れる

顧客の購買プロセスを理解し、各段階で具体的な行動を特定し、顧客の視点から評価することで、より効果的な戦略を策定できます。

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順⑥ 顧客の思考や感情を抽出する

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順⑥ 顧客の思考や感情を抽出する

顧客の思考や感情を抽出するプロセスでは、顧客が各段階で何を考え、どのように感じているかを明確にすることで、各フェーズでの課題の特定に繋げることができます。本節では、様々な角度から顧客の思考や感情の抽出方法を解説します。

1.段階ごとの分析

以下の例のように、各段階での顧客の思考や感情を想定して抽出していきます。

認知・興味

  • 「業務改善の必要性を感じる」
  • 「コスト削減できないか」
  • 「課題を解決したい」

調査・比較

  • 「どの製品が自社に最適か」
  • 「導入効果は十分か」

社内検討・決定

  • 「予算内に収まるか」
  • 「導入リスクはないか」

契約

  • 「契約上のリスクはないか」
  • 「ROIは確保できるか」

導入・利用

  • 「スムーズに導入できるか」
  • 「従業員の反応はどうか」

サポート・継続利用

  • 「期待通りの効果が出ているか」
  • 「さらなる改善点はないか」
  • 「より良い他社・他サービスはないか」

まずは、Webアンケート調査やヒアリングを通じて、顧客や顧客に関わりの深い部署の担当者から、顧客の実際の思考や感情を引き出します。そこで得られた情報をもとに、顧客の感情や思考を整理、抽出します。また、フェーズごとにポジティブな感情とネガティブな感情を分けて記載しておくことで、ボトルネックになっているフェーズが直感的に把握しやすくなります。

2.ビジネス課題との関連付け

BtoCとは違い、企業を対象にしたカスタマージャーニーマップでは、意思決定が個人的な感情よりもビジネス上の課題に左右されやすいため、ビジネス課題との関連付けが大切です。
例えば、売上不足への不安や人手不足によるストレスなどの感情を考慮して抽出することで、顧客のニーズやインサイト(隠れた本音)をつかむヒントになります。

3.複数の関係者の視点

BtoB企業のカスタマージャーニーマップでは、複数の関係者が意思決定に関与するため、それぞれの立場(担当者、意思決定者、使用者、経営者など)の視点から思考や感情を抽出することで、全体の購買プロセスを把握できます。

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順⑦ 現状の対応や課題を見直し、解決策を検討し実行する

BtoBカスタマージャーニーマップの作成手順⑦ 現状の対応や課題を見直し、解決策を検討し実行する

解決策の検討や実行のプロセスでは、顧客の悩みの解消や行動変容に繋がる対応策を検討します。以下のような点を考慮しながら、解決策を検討し実行すると良いでしょう。

  • 目標との整合性を図る
  • 営業やマーケティングなどの複数の部門が連携し、多角的な視点から施策を考える
  • KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)などの具体的な成功指標を設定し、解決策の効果を測定する
  • 競合状況を分析し、それに基づいた差別化戦略を盛り込む
  • 顧客接点を最適化し、心理状態に応じたコミュニケーション戦略を展開する
  • 解決策の効果を定期的に評価し、必要に応じて修正する
  • 優先度の高い課題から段階的に取り組む

過去に実施した施策も考慮しながら、実施するべき解決策を洗い出し、実現性や期待される効果を踏まえて判断しましょう。
顧客が満足のいく体験ができるかどうかという視点で考えることが大切です。

BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート
テンプレート
BtoBカスタマージャーニーマップの記入例
記入例

【DESIGN α】BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート

BtoBカスタマージャーニーマップとペルソナ(組織と個人)がセットでダウンロードできます。

4. 成果に繋がるBtoBカスタマージャーニーマップ作成のポイント

カスタマージャーニーマップ作成のための調査

成果に繋がるカスタマージャーニーマップを作成するためには、顧客の生の声を聞くための調査が非常に大切です。
調査をすることで、顧客がどのようなニーズや課題を抱えているのかを深く理解でき、現実的かつ実用的なカスタマージャーニーマップを作成できます。また、予想外の事実が明らかになり、具体的な課題の特定に繋がることもあります。

調査の手法には、インタビュー調査やアンケート調査などがあります。ユーザーインタビュー調査やWebアンケート調査について詳しく知りたい方は、下記のページも合わせてご覧ください。

【事例付き】ユーザーインタビュー調査とは?

ユーザーインタビュー調査の具体的な方法を実例付きで解説しています。

Webアンケート調査とは?

Webアンケート調査の種類から失敗しないコツまで解説しています。

とはいえ、BtoBの場合、顧客にインタビューすることが難しいこともあるでしょう。
そういった場合は、顧客満足度調査を名目としたアンケートを実施したり、実績紹介のためのインタビューを行いながら顧客ニーズの把握の機会とするなどの方法も考えられます。

また、そもそも作成のための調査に時間をかけられないこともあります。
一番重要なのは、普段の顧客とのコミュニケーションの中で定期的にヒアリングして、課題感や感情を理解しておくことです。
顧客と関わる機会が少ない場合は、接点の多い営業担当者をチームメンバーに加えたり、マーケティング施策のデータを活用したりするなど、まずは通常業務の範囲から顧客の生の声を反映させます。さらに、営業やマーケティング、商品開発など、異なる部門のメンバーを集めてカスタマージャーニーマップ作成のためのワークショップを開催するなどして、それぞれの立場から多角的な視点で顧客の思考や感情を抽出すると良いでしょう。

社内の関係者を巻き込む

BtoB企業のカスタマージャーニーマップは、社内の関係者を巻き込むことが大切です。顧客接点が複数の部門にまたがることが多いため、各部門の専門知識や多様な視点を取り入れることで、顧客の全体像を把握しやすくなります。

前々章で解説した通り、社内の関係者と協力して作成することで、共通理解が生まれコミュニケーションも円滑になり、一貫性のある顧客対応が可能になります。

受注率の向上や顧客満足度の改善、LTV(Life Time Valueの略称で「顧客生涯価値」のこと。取引期間中に顧客が企業に対してもたらす利益を指す)向上など、大きな成果に繋げるためにも、関係部門との連携は必要不可欠です。多人数を巻き込むことが難しい場合は、少人数でも部門間のバランスが取れるよう考慮して関係者を巻き込みましょう。

5. カスタマージャーニーマップ作成におすすめのツール

カスタマージャーニーマップの作成には、チームメンバー間でアイデアを共有しながらオンライン上で行うことがよくあります。

本章では、カスタマージャーニーマップの作成におすすめのツール「Lucid Chart」「Miro」「UXPressia」の3つをご紹介します。これらのツールにはテンプレートも用意されており、カスタマージャーニーマップを簡単に作成できます。

Lucid Chart

「Lucid Chart」は、アイデアを可視化し実現に繋げるための作画アプリケーションツールで、カスタマージャーニーマップの作成におすすめです。
カスタマージャーニーマップのテンプレートも用意されていて、オンライン上での共同作業がスムーズに行えるので、チームでの運用にも向いています。

参考:

インテリジェントな作図アプリケーション「Lucid Chart」を使ってみたい方はこちら

Miro

「Miro」は、オンラインホワイトボードツールやマインドマップツールとして提供されているサービスで、カスタマージャーニーマップの作成にもおすすめです。「Miro」もカスタマージャーニーマップのテンプレートが用意されています。

参考:

オンラインホワイトボードツール・マインドマップツールの「Miro」を使ってみたい方はこちら

また、「Miro」はカスタマージャーニーマップの作成以外にもさまざまな場面で活用されています。DESIGN αでも「Miro」を使ったワークショップを「株式会社Sonoligo様 UXコンサルティング」や「三菱電機株式会社様 医療機関のエスノグラフィー調査・UX人材育成研修」の案件で実施しました。詳しくは下記の実績のページをご覧ください。

【実績紹介】株式会社Sonoligo様 UXコンサルティング

「Miro」を使ったワークショップにて、ユーザー定義、ペルソナ、カスタマージャーニーマップを作成しました。

【実績紹介】三菱電機株式会社様 医療機関のエスノグラフィー調査・UX人材育成研修

「Miro」を使ったワークショップにて、共感マップやプロブレムマトリクス(問題の深刻度や発生頻度に基づく優先判断・分析)を作成しました。

UXPressia

「UXPressia」は、顧客体験に特化したオンラインツールです。業界・業種ごとに70種類以上のカスタマージャーニーマップのテンプレートが用意されています。使いやすいインターフェースと強力な機能により、UX向上に大きく貢献します。

参考:

カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント・プラットフォームの「UXPressia」を使ってみたい方はこちら

6. まとめ

カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動や感情など、購買プロセスにおける体験を可視化するためのフレームワークです。BtoBとBtoCのカスタマージャーニーマップの主な違いは、顧客の「購買プロセスの長さ」「関係者の数」「顧客接点」にあります。BtoBでは、多くの担当者や意思決定者が関与することで、長期的かつ段階的なプロセスを経て合意を得たり、個別にアプローチする必要があり、BtoCと比べて作成の手間や難易度が上がります。

BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客のニーズや行動を詳細に把握し、深く理解することが可能になります。また、共通理解や情報共有を通して社内外の連携が強化でき、効果的な施策を立案し、顧客の期待に応えることもできます。さらに、タッチポイントや提供サービスを最適化することで、顧客体験の向上にもつながります。

BtoB企業がカスタマージャーニーマップを作成する際は、「ペルソナ(組織ペルソナと個人ペルソナ)」を最初に設定します。続いて、顧客部分に「関係者」「タッチポイント」「行動」「思考・感情」「問題・課題・要求」「施策・解決策」の順に記述し、最後に、自社部分の「現状の対応・課題」「施策・解決策」を記述します。作成前には、まず目的を設定し、最終的に達成したい目標を考慮しながら作成することが大切です。BtoCとは考え方が異なる部分も多いため、注意が必要です。

なお、カスタマージャーニーマップは、作成自体を目的にしたり自社にだけ都合の良いものにならないようにすることが大切です。作成後は定期的に見直し、新たな情報や変化に応じて改善し続けると良いでしょう。

最後に、顧客の行動や感情を可視化する上で、ツールの使用がおすすめです。DESIGN αでも手軽に使えるExcelのテンプレートを無料で提供しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート
テンプレート
BtoBカスタマージャーニーマップの記入例
記入例

【DESIGN α】BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート

BtoBカスタマージャーニーマップとペルソナ(組織と個人)がセットでダウンロードできます。

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