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徹底したUXリサーチから生まれるブレない戦略。 徹底したUXリサーチから生まれるブレない戦略。

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UI/UXリサーチ / 戦略設計

インクルーシブデザインとは?すべての人に優しいUX体験の実現

インクルーシブデザインとは?すべての人に優しいUX体験の実現

「このボタンは高齢の方にとって小さすぎないだろうか?」「海外からのユーザーにもこのナビゲーションは分かりやすいだろうか?」

デジタル化が加速する現代において、こうした「誰もが使いやすい」製品やサービスへの関心が高まっています。しかし、多様なユーザーのニーズに応えながら、ビジネスとしての成果も上げていくにはどうすれば良いのでしょうか。

その解決策として注目を集めているのが「インクルーシブデザイン」です。本記事では、インクルーシブデザインの基本や原則、インクルーシブデザインのプロセスを解説します。多様性時代におけるUX戦略のヒントとして、ぜひご活用ください。

1. インクルーシブデザインとは

インクルーシブデザインとは、多様なユーザーの視点をデザインプロセスに取り入れ、特に障害者や高齢者、外国人や特定の文化を持つ人など、従来の設計プロセスでは取り残されがちな人々のニーズを尊重する手法です。より多くの人にとって利用しやすい製品やサービスを提供することを目的としています。

インクルーシブデザインの歴史

1960年代、アメリカでは公共の場での平等な権利を求める障害者権利運動が盛り上がりました。その後の1970〜80年代にかけて、アクセシビリティに関する法律や設計基準が整備され、1990年には「障害を持つアメリカ人法(ADA)」が制定されるなど、社会全体の意識が変化していきました。

こうした流れを受け、設計や建築の分野では「ユニバーサルデザイン」や「エルゴノミクス(人間工学)」といった概念が発展しました。そして、1990年代初頭に英国のロジャー・コールマンが障害者や高齢者など多様な視点を設計に取り入れる重要性を提唱しました。

この流れにより、今まで設計の中で取り残されがちだった人々を積極的に巻き込む方向へ進化し、インクルーシブデザインは、今日の多様性ある社会において、公平で包括的な製品を提供するための基盤となりました。

インクルーシブデザインの基本姿勢・マインド

インクルーシブデザインの基本姿勢は、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が共存しているという事実を前提に、その違いを新たなアイデアの源泉として活用することにあります。
多様性を認識するだけでなく、「具体的にどのようなユーザーが、どういった場面で排除される可能性があるか」を明らかにする視点が重要です。この視点を持つことで、デザイナーや開発者は自らのバイアスに気づき、特定の人々が排除されないよう、常に多様な視点を保持することが求められます。

ユニバーサルデザインとの違い

ユニバーサルデザインとインクルーシブデザインの違い

インクルーシブデザインと似た概念に「ユニバーサルデザイン」がありますが、これらは別の考え方です。

ユニバーサルデザインは、できるだけ多くの人が使用できるように設計されたデザインです。
一方、インクルーシブデザインは、特定の制約を持つユーザーのニーズに応じた複数のデザインを提供するアプローチです。
一つの解決策で多くのユーザーに対応するユニバーサルデザインに対して、インクルーシブデザインでは特定のニーズを持つユーザーに焦点を当てます。

2. インクルーシブデザインが重要視される理由

多様化する社会とデザインの課題

現代社会では、多様性を受け入れ、それに対応した製品やサービスを提供することが、企業の競争力向上や社会的責任の達成に直結しています。
この課題に対する解決策の一つがインクルーシブデザインです。さまざまなユーザーのニーズを理解し、それに応じたデザインにすることで、より公正で包括的な社会を目指せます。

SDGsやダイバーシティ推進の背景

現代社会では、SDGs(持続可能な開発目標)の実現やダイバーシティ(多様性)の推進が重要な課題となっており、これらは企業の成長と顧客ロイヤルティの向上に不可欠です。企業が持続可能性を追求し、さまざまな人々を尊重する姿勢を示すことで、ブランドイメージや顧客の信頼を高めることができます。

3. インクルーシブデザインの基本原則

誰もが利用できる

多様なニーズに応え、すべてのユーザーが同等の体験ができることを重視します。例えば、フォントサイズの変更やクローズドキャプション(動画や番組の音声を文字で表示すること)の導入などは、さまざまなバックグラウンドを持つ人々がアクセスできるサービスを実現します。

利便性とアクセシビリティを両立させる

利便性とアクセシビリティの両立は、すべてのユーザーに快適な体験を提供する鍵です。
例えば、視覚に障害のある利用者のために、音声案内や読み上げ用の代替テキスト(alt属性)を設けることで、情報のアクセス性を高めます。また、タッチ操作だけでなく、音声やジェスチャー操作も可能にすることで、利用者の選択肢が広がります。
これらの機能は、障害がないユーザーにとっても特定の状況で活用の機会があり、プロダクトとして利便性の向上につながっています。

4. インクルーシブデザインのプロセス

各プロセスでは、さまざまな背景やニーズを持つユーザーの視点を重視し、意見を反映させながら、より良い体験を提供することが重要です。

ユーザーの理解

さまざまな背景を持つ人々に対してインタビューやアンケートなど、必要に応じたリサーチを実施します。特に、特定のニーズを持つユーザーグループに焦点を当てたユーザビリティテストは、彼らが直面する問題を直接明らかにすることができます。

課題の抽出

調査した結果をもとに、ユーザーが直面する可能性のある課題を分析します。あらゆる視点から課題について深掘りすることが、より多くの人にとって利用しやすい製品やサービスをデザインするために必要です。
例えば、色覚障害のあるユーザーを考慮すると、色だけで情報を伝えるのは不適切です。

企画と設計

チームメンバーと協力し、できるだけ多様な視点からアイデアを出します。異なるバックグラウンドを持つメンバーが参加することで、ユーザーニーズをより広く捉えた企画を立てることができます。
企画がまとまったら、実際にプロダクトを作るための設計に落とし込みます。
例えば、色覚障害を持つユーザーを想定した場合、色だけでなく形やテキスト、アイコンを併用して情報を伝えるといった仕様が考えられます。

プロトタイピングとフィードバック

設計をもとにプロトタイプ(試作品)を作成します。
プロトタイプは対象ユーザーにテストしてもらい、どの部分が効果的か、また、どの部分に改善が必要かを把握します。
改善点が明確になったら再設計し、必要に応じてプロトタイピング・フィードバック・改善の過程を繰り返しながら仕様を固めていきましょう。

実装とリリース

最終的なデザインを基に製品やサービスを開発し、意図した通りに機能しているか、あらゆるユーザーにとって使いやすい構造になっているかをチェックします。
チーム内でのチェックと修正が完了したら、ついにリリースです。

効果検証と改善

リリース後もユーザーの利用状況を観察してフィードバックを得たり、使用データを分析し、成功している箇所と課題が残されている箇所を明確にしたりしながら、継続的に必要な改善を行います。

【関連記事】さまざまなユーザー調査の手法を解説

ユーザーを理解するための調査について基礎知識から具体的な実施方法まで詳しく解説しています。

5. 企業がインクルーシブデザインを採用するメリット

市場拡大への可能性・新たな顧客層の獲得

多様性を尊重し、さまざまなニーズに応えることで、従来のデザインプロセスでは見逃されがちな顧客層を取り込むことが可能になります。幅広いユーザーのニーズに応えることで、製品やサービスの市場を拡大し、新たな収益源を生む機会も期待できます。

ブランド価値・信頼感の向上

多様なニーズを理解し、それに対応することで、ユーザーは自身のニーズが尊重されていると感じ、その製品やサービスに対してポジティブな感情を抱きやすくなります。

また、あらゆるバックグラウンドを持つユーザーへの配慮は、企業の社会的責任を果たす姿勢を示し、結果として顧客からの信頼、ひいてはブランド価値の向上にもつながるでしょう。

6. インクルーシブデザインにおけるUX思考の重要性

UXデザインとインクルーシブデザインの関係

UXデザインは、製品やサービスを通じて得られるユーザー体験の質を向上させるプロセスです。このプロセスには、さまざまな手法やアプローチがあり、その中にインクルーシブデザインがあります。
インクルーシブデザインは、UXデザインの一環として位置づけられ、従来の設計プロセスでは見落とされがちな多様な背景を持つユーザーを意識的に取り入れることを重視しています。

UXデザインの過程にインクルーシブデザインの考え方を取り入れることで、より多様なユーザーに価値を届け、社会的意義の高いプロダクトを実現することが可能になります。

ユーザビリティやアクセシビリティとインクルーシブデザインの関係

UXデザインにおいて、ユーザビリティは製品の使いやすさを、アクセシビリティはあらゆる制約を持つユーザーが利用できるように設計されていることを指します。インクルーシブデザインは、これらの要素を統合し、すべてのユーザーに対して使いやすく、かつアクセスしやすい製品を提供することを目指します。

例えば、視覚に障害を持つユーザーを意識してコントラストを高めたデザインは、それ以外のユーザーにとっても読みやすいUXを提供します。あるいは、シンプルで誰にでもわかりやすいUI設計は、マイナーなデバイスを使用しているユーザーでもストレスなく使用できるケースもあります。
このように、インクルーシブデザインにおいては、ユーザビリティとアクセシビリティの両方を高める視点が非常に重要です。

ユーザビリティテストとは?

ユーザビリティの観点で課題を抽出する調査として、「ユーザビリティテスト」という手法があります。下記の記事では、ユーザビリティテストの具体的なやり方を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

7. まとめ

インクルーシブデザインは、誰もが公平かつ快適にサービスを利用できるように配慮したデザインアプローチです。

SDGsやダイバーシティが重要視されている現代のビジネス環境においては、インクルーシブデザインを通じてそれらの課題に取り組むことで、ブランド価値の向上や顧客からの信頼につながります。

インクルーシブデザインを実現するためには、まず自社の製品やサービスを多様な視点で見直すことから始めましょう。障害のある方や高齢者、異なる文化背景を持つ方々がどのようにサービスを体験しているのかを把握することで、インクルーシブデザインへの第一歩を踏み出せます。

一度にすべてを完璧に実施する必要はなく、プロトタイピングやユーザーからのフィードバックを活用しながら、継続的に改善していくことが大切です。実際の利用者へのインタビューやユーザビリティテストの実施や、障害当事者やシニア層の意見を取り入れるワークショップの開催など、できることからはじめてみてください。

インクルーシブデザインを取り入れることは、より多くのユーザーに価値を提供するだけでなく、企業の価値を高める大きな機会にもなります。ぜひこの機会に、自社のデザイン戦略を見直してみてはいかがでしょうか。

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