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UI/UXリサーチ / 戦略設計

KJ法を定性調査で活用するには?アイデア創出から課題解決につながる効果的な情報整理術を解説

KJ法を定性調査で活用するには?アイデア創出から課題解決につながる効果的な情報整理術を解説

顧客体験の改善には、複数人でのアイデア出しや議論が不可欠です。その際に、アイデアや意見を整理するのに広く活用されているのがKJ法です。
本記事では、KJ法の基本的な考え方に加え、アイデア創出から課題解決につなげるまでの効果的な情報整理の方法から、定性調査におけるKJ法の活用方法までをご紹介します。

1. KJ法とは?

KJ法の特徴

KJ法とは、複数のアイデアや情報を効率的に整理し、課題解決や新たな発見につなげる手法です。具体的な方法としては、付箋やカードに情報を1つずつ書き出し、それらをグルーピング(グループ化)することで情報を整理します。

主にグループワークやブレインストーミング(詳細は3章で解説)の場面で使用され、複雑な問題や膨大な情報を効果的に整理し、チームでのコミュニケーションや相乗効果を促進する手段として、多くの分野で利用されています。

KJ法の歴史

KJ法は、1967年に文化人類学者の川喜田二郎氏によって考案され、そのイニシャルにちなんで名付けられました。川喜田氏の著書『発想法』でKJ法が紹介されると、効果的な研究・研修方法として広く知れ渡りました。

KJ法は元々、ネパール・チベットの山村でのフィールドワーク(現地調査)を通じて情報整理術として考案されました。しかし、実際に活用していく過程で、アイデア創出や課題解決においても非常に効果的であることが明らかになり、汎用的な手法として活用されています。

2. KJ法で押さえるべきポイント

KJ法のメリット

KJ法には以下のようなメリットがあります。

メリット①:アイデアを可視化できる

参加者のアイデアを整理し、可視化することができます。これにより、アイデアを単に記録できるだけではなく、チーム内で同じ情報を共有し、共通認識を深めることができます。

メリット②:​​情報を理論的に整理できる

KJ法を活用してアイデアの関係性や近い考えをまとめることで、物事を論理的に整理できます。これによって、焦点がぶれにくくなり、論点を明確にしながら効率的に議論を進めやすくなります。

メリット③​:​新たな課題やアイデア発見できる

参加者のさまざまな意見を整理することで、新しい課題やアイデアを見つけやすくなります。KJ法では、グルーピングや図解化を通じて新たな課題やアイデアが創出されることもあります。これは、異なる情報やアイデアを整理し、組み合わせたりかけ合わせたりしながら議論することで、新たな発想が刺激されるためです。

KJ法の注意点

一方、KJ法には以下のような注意点もあります。

注意点①:準備と実施に時間や手間がかかる

KJ法は一見単純な作業ですが、準備と実施に多くの時間や手間がかかる場合があります。付箋やカードなどの備品や専用ツールを手配する必要があるほか、情報量が多かったり複雑だったりして、グルーピングや図解化の段階で意見が割れる場合には、多くの時間を要します。そのため、短時間でアイデアを出したい場合には適していません。

注意点②:結果が参加者の理解度に左右される

参加者がKJ法のプロセスやルール、考え方を理解した状態で行わないとスムーズに進行できず、アウトプットの質に影響を及ぼす可能性があります。また、参加者間に上下関係が存在する場合、自由に発言することが難しくなることも考えられます。

注意点③:​​ファシリテーションスキルが必要

KJ法を成功させるには、ファシリテーター(進行役)のスキルも重要です。ファシリテーターに求められるものは以下の通りです。

客観性を保持する力
ファシリテーターは、中立的で客観的な立場を保ちながらスムーズに進行することが求められます。自身の意見に関係なく、参加者から出た意見は公平に扱いながら進行することが必要です。

意見を引き出すスキル
参加者が自由に意見を出せる雰囲気作りが大切です。ファシリテーターには、全員に発言のチャンスが与えられるように進行するスキルが求められます。

時間管理能力
前述の通り、KJ法は時間がかかるため、ファシリテーターは時間配分を適切にしながら議論を進行する必要があります。

合意形成と推進力
意見を整理し最終的な結論に導くために、ファシリテーターは参加者全員が納得できるような合意形成をすることが大切です。

論理的思考力
創出したアイデアや意見を整理し、関係性を図解化するスキルも必要です。そのためには、その情報がどういう種類のもので、他の情報とどう結びつくのかを見極める思考力が重要になります。

これらのスキルを適切に発揮できるファシリテーターの存在が、KJ法の成功に大きく影響します。そのため、適切なファシリテーターの人選や育成が重要です。

3. KJ法と相性の良い「ブレインストーミング」とは?

KJ法は多数のアイデアや情報を整理するための手法ですが、その前のアイデア出しのフェーズでよく使われる手法に、ブレインストーミング(ブレスト)があります。

ブレインストーミングとは、1950年頃にアメリカの実業家アレックス・F・オズボーンによって考案されたアイデア発想法で、問題解決やアイデアの洗い出しに活用されています。
ここでは、質の高いブレインストーミングを行うためのコツについて簡単に紹介します。

ブレインストーミングで有益なアイデアを得るための4つの基本原則

ブレインストーミングで有益なアイデアを出すためには、4つの基本原則を意識して行うことが大切です。

①批判の禁止

まず、アイデアに対してその場で批判や否定をしないことが大切です。他人のアイデアや意見への批判を禁止することで、参加者は気兼ねなく発言でき、より多くのアイデアが生まれやすくなります。

②自由な発言の促進

次に、参加者がどんなアイデアでも積極的に出せるよう促します。たとえ奇抜なアイデアであったとしても、思いついたことを自由に発言できるような雰囲気を作りましょう。多角的な視点から発言し合うことで、思いがけないアイデアが生まれる可能性があります。

③アイデアを組み合わせる

アイデアが集まる中で、他の人のアイデアを基に発展させたり、新たなアイデアを思いついたりすることもあるでしょう。他の人のアイデアと自分のアイデアを組み合わせたり改善を加えたりすることで、課題解決を図ることが大切です。

④質より量を重視する

ブレインストーミングでは、アイデアの質を高めるより、多くのアイデアを洗い出すことを優先します。思いついたことを積極的に発言することで、最終的に質の高いアイデアやアプローチに結びつく可能性が高まります。

4. ブレインストーミングからKJ法を行う場合の実施ステップ

ブレインストーミングからKJ法を行うには、以下の4つのステップで実施します。

Step1: ブレインストーミング

ブレインストーミングは、テーマと目的を明確化し、「アイデアを創出する時間」と「まとめる時間」の2つの制限時間を予め設定してから始めます。出たアイデアは1枚の付箋やカードにつき1つずつ書き出していきます。

事前準備①:実施方法の決定と必要なツールの準備

ブレインストーミングは、オンラインでもオフラインでも実施できます。どちらで行うかは、プロジェクトの特性やチームの状況・目的に応じて決定してください。

オンラインの場合は、ホワイトボードツール(6章で解説)を使用すると良いでしょう。ホワイトボードの広さの制限を気にすることなく、アイデアの複製・保存が容易に行えるのがオンラインで行うメリットです。

オフラインの場合は、ホワイトボードもしくは広いデスク、付箋もしくはカード、筆記用具(用紙やペン)を用意します。その他、録音して後から振り返れるよう、ICレコーダーなども用意しておくと便利です。
チーム内で直接コミュニケーションを取り、体を動かしながら情報を整理できるのが、オフラインで行うメリットです。

事前準備②:参加者の選定とファシリテーターの決定

ブレインストーミングでは、以下のような基準で参加者を選定します。

  • 10人以下(人数が多すぎると平等に意見を聞けなくなる可能性があるため)
  • 部署、年代、性別、立場などが異なる人(多角的な意見を集めるため)

また、スムーズに進行するためにはファシリテーター(進行役)が必要です。ファシリテーターには、前章で述べた「4つの基本原則」を順守しながら進行していくことが求められます。

Step2: アイデアをグルーピング

次に、書き出したアイデアをグルーピングします。グルーピングするときは、付箋やカードをすべて並べた上で、一つひとつをよく読んでいくと全体像が掴みやすくなります。グルーピングは、以下のように3つの段階を踏んで行うと良いでしょう。

①小グループの作成

まずは、同じようなアイデアや意見を集めて小さなグループを作ります。2〜3枚の付箋やカードで1つの「小グループ」を作ったら、よく観察し、共通して表現していることをタイトルにします。

②中グループの作成

次に、小グループのタイトルを見て、類似性のある小グループ同士を「中グループ」にまとめます。中グループは、小グループよりも抽象的な概念を表現し、より広い視点でアイデアを捉えることができます。

③大グループの作成

さらに、中グループを整理して、最終的に「大グループ」としてまとめます。「大グループ」にまとめるためには、解釈が可能になるまで中グループを作っていくことが大切です。数個の「大グループ」にまとまったら、付箋やカードの整理は終了です。

Step3: 関係性の図解化

続いて、グループ同士の関係性をわかりやすくするために、矢印や線、記号などを使って図解化していきます。これにより、アイデアや情報の構造が視覚的に明らかになります。図解化のポイントは以下の通りです。

空間配置

空間配置とは、グループごとに関連性のある付箋を近くに配置する作業です。これにより、アイデア同士の関係性が視覚的に明確になります。オフラインでカードを使用した場合は、関連する付箋の束を並べ替えることで、より効果的な情報整理が可能になります。

関係性の可視化

関係性の可視化とは、付箋やカードを線で繋いだり、囲んだりして、関係性がわかりやすくなるようにすることです。例えば、以下の図のように関係性を矢印や線などで表現します。

KJ法:関係性の可視化

図解化の順番

「大グループ」が終了したら、「中グループ」「小グループ」の順に図解化します。「大グループ」から順に図解化を進めることで、関係性をまとめやすくなります。

Step4: 考察と文章化

最後に、図解化されたものを見ながらチーム内で議論し認識を共有するために、アイデアや情報を文章化します。文章化する際には、グループのカードに書かれている言葉をできるだけ多く使いながら、グループごとに1つの文章につなげていきます。また、グループの重要度に応じた優先順位を明確にするのもポイントです。

5. KJ法を定性調査で効果的に活用するためのポイント

前述の通り、KJ法は情報整理やアイデア発見の手法として広く認識されていますが、元々はフィールドワーク(現地調査)における情報整理術として考案されており、定性調査の際にも活用できます。定性調査とは、数値では表せない個人の意見や動向を収集して分析する調査のことです。本章では、その具体的な活用ポイントをご紹介します。

5. KJ法を定性調査で効果的に活用するためのポイント

自由回答の分析

定性調査の一つに、アンケート調査の自由回答が挙げられます。アンケート調査の自由回答では、回答者の生の声を得られる一方、多様な意見や要望が含まれるため、分析が難しい傾向があります。
そこで、KJ法を活用することで、得られた意見や要望が整理され、回答の傾向やパターンを可視化することができます。これにより、顧客のニーズや課題が明確になります。

アンケート調査について詳しく知りたい方は、下記のページも合わせてご覧ください。

Webアンケート調査とは?

Webアンケート調査の種類から失敗しないコツまで解説しています。

インサイトの抽出

KJ法は、ユーザーインタビュー調査やエスノグラフィー調査(現地行動観察調査)などの定性調査を通して得られた情報を整理する際にも活用できます。KJ法で整理することで、顧客のインサイト(隠された本音)や行動パターン、背景にある価値観などが見えやすくなります。これによって、顧客のニーズや課題を分析するのに役立ちます。

調査結果の可視化

KJ法はユーザーインタビュー調査などの定性調査で得られた複雑な調査結果を可視化し、関係者に共有する際にも活用できます。多角的に分析し整理された情報は理解しやすく、議論を活性化させたりデザインプロセスにおける意思決定を促すことにもつながります。

さまざまな定性調査について詳しく知りたい方は、下記のページも合わせてご覧ください。

【関連記事】さまざまな定性調査手法を解説

定性調査について基礎知識から具体的な実施方法まで詳しく解説しています。

6. KJ法におすすめのツール

Lucidchart

「Lucidchart」は、アイデアを可視化し、実現するためのクラウドベースの作図アプリケーションツールです。KJ法やブレインストーミングのテンプレートも用意されており、リアルタイムでの共同作業がスムーズに行えるため、チームでの効率的な情報共有と意思決定に役立ちます。

参考:

インテリジェントな作図アプリケーションツールの「Lucidchart」を使ってみたい方はこちら

Miro

「Miro」は、オンラインホワイトボードツールやマインドマップツールとして提供されているサービスで、KJ法の実施にも役立ちます。「Miro」にもテンプレートが多数あり、KJ法やブレインストーミングに役立つテンプレートが用意されています。

参考:

オンラインホワイトボードツール・マインドマップツールの「Miro」を使ってみたい方はこちら

また、「Miro」はKJ法やブレインストーミング以外にも、ツリーマップやカスタマージャーニーマップなど、さまざまなフレームワークを作成する場面で活用されています。DESIGN αでも「Miro」を使ったワークショップを「株式会社Sonoligo様 UXコンサルティング」や「三菱電機株式会社様 医療機関のエスノグラフィー調査・UX人材育成研修」の案件で実施しました。詳しくは下記の実績のページをご覧ください。

【実績紹介】株式会社Sonoligo様 UXコンサルティング

「Miro」を使ったワークショップにて、ユーザー定義、ペルソナ、カスタマージャーニーマップを作成しました。

【実績紹介】三菱電機株式会社様 医療機関のエスノグラフィー調査・UX人材育成研修

「Miro」を使ったワークショップにて、共感マップやプロブレムマトリクス(問題の深刻度や発生頻度に基づく優先判断・分析)を作成しました。

FigJam(Figma)

「FigJam」は、コラボレーションインターフェースデザインツール「Figma」が提供するオンラインホワイトボードです。「FigJam」も他のツールと同様に、KJ法やブレインストーミングの実施に活用できます。直感的な操作が可能で使いやすく、リアルタイムでアイデアの共有や可視化、情報の整理やグルーピングに役立ちます。

参考:

コラボレーションインターフェースデザインツールの「Figma」を使ってみたい方はこちら

7. まとめ

KJ法は、アイデアや情報を効率的に整理できる手法で、ブレインストーミングとの親和性やユーザー調査への汎用性が高いため、業務で活用したいと考える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、KJ法の基礎知識から、ブレインストーミング、実施方法、ユーザー調査への活用のポイント、便利なツールなどをご紹介しました。

KJ法は、まず情報をグルーピングや図解化した後、文章化を行い、アイデアや意見を可視化していきます。この一連の作業は、基本的な備品やツールがあれば実施可能ですが、時間や手間がかかる点や、結果が参加者の理解度やファシリテーターのスキルに左右される点に注意しながら行いましょう。

さらに、KJ法は定性調査結果の整理にも活用可能です。アンケート調査の自由回答の分析やインサイトの抽出のほか、インタビュー調査結果の可視化にも活用でき、ニーズの把握や課題の特定に役立つ汎用性の高い手法です。

顧客のニーズを理解したり、課題解決に取り組んだりする際は、まずは本記事を参考にKJ法を活用して、情報を整理するところからぜひ始めてみてください。

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