UI/UXリサーチ / 戦略設計
【無料テンプレート付】ペルソナとは? マーケティングに活かせるペルソナの作り方
ペルソナとは、ターゲットユーザーがどういった人間かを考える上で、必須ともいえるフレームワークです。
ユーザーインタビューをもとに作成したペルソナは、並行して使用する共感マップや、その後の、カスタマージャーニーマップを作成する基とされています。
ニーズに合わせてUX(ユーザー体験)をデザインし、ビジネスゴールの達成を目指す「UX戦略」の中でも、ユーザー理解を深めるために活用されるのがペルソナです。
今回はユーザーを理解する上で重要な「ペルソナ」を網羅的に解説していきます。
目次
【DESIGN α】ペルソナ テンプレート
1. 【3分でわかる】ペルソナとは?
ペルソナとは商品の象徴的な「架空の人物像」です。
たとえば、コカ・コーラの典型的なユーザー像を考えてみてください。
「スポーツが好き」「家族でコーラを飲む」といった、当たりがつくはずです。
こういった、架空の人物像を「ペルソナ」と呼びます。
ペルソナを作るとユーザーの動きに合わせたUXをデザインできる
ユーザーへのインタビューをもとにペルソナを作ると、そのユーザーがどういう風に自社サービス・商品を使うかを想起しながらUXをデザインできます。
たとえば、占いサービスを作ったとしましょう。
「占いが好きなユーザーは、あえて占っている時間をワクワクして待ちたい」というインタビュー結果をもとに、ペルソナを考えてみます。
ユーザーは占い結果をワクワク待ちたいのですから「占いの結果が表示されるまでのロード時間を用意した方がいい」と判断し、UXデザインに繋げられます。
ペルソナがないと「担当者のセンス頼り」になってしまう
逆にペルソナがないと、こういった細かなUXデザインの気配りは「担当者のセンス次第」になってしまいます。言い換えると、それは「思い込み」です。
上記の例ですと、占いに詳しくない人がサクサク動くUXデザインを作ってしまい、かえってユーザーから「この占いサービス、ワクワク感がなくて面白くない」と判断されてしまう恐れがあるのです。
ペルソナがあれば、担当者のセンスに頼らなくても「こういう架空の人が使うとしたら……」と考えながらUXを設計できます。
ユーザーのニーズから外れたUXを設計してしまうミスを防ぎ、ひいては売上アップにも繋がるのです。
ペルソナは共感マップ、カスタマージャーニーマップと合わせて使う
ペルソナは、ユーザーの置かれている環境と、そこでの感情を書き出す「共感マップ」、ユーザーの心理をサービスを使うフェーズごとに追いかけ、課題を抽出する「カスタマージャーニーマップ」とあわせて使うのが効果的です。
【テンプレート付】カスタマージャーニーマップで現状分析!課題出しからあるべき姿の導き出し方まで解説
カスタマージャーニーマップの作成方法を基礎的な部分から実践方法まで知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ペルソナ・カスタマージャーニーマップ・共感マップを組み合わせることで、ターゲットユーザーへの理解を深められます。
また、これら3つのフレームワークを使いこなせば、UXデザインのみならず、マーケティング戦略の最適化にも繋がります。
UX戦略の土台となる「UI/UXリサーチ」の中でも、最後まで指針として活用する重要な3つです。
ぜひ、3つのフレームワークを同時に使ってみましょう。
2. ペルソナ作成の前にターゲット作成が必要!
ペルソナ作成の前に、必ず「ターゲット」ユーザーを明確にします。
ターゲットとは、市場全体のなかで「誰に自社サービスを使ってもらうか」を明確にしたものです。
ターゲットとは「誰に売りたいか」を言語化したもの
たとえば、マクドナルドとモスバーガーは、いずれもターゲットが異なります。
マクドナルドは郊外のファミリー層や、若い人から支持されています。
他方、モスバーガーは都心部に住む環境問題に関心が高い層や、30代以上に愛されています。
このようにハンバーガー市場ひとつを見てもターゲット像は大きく異なります。
ペルソナを策定する前に、まず「市場全体の中で誰に売りたいのか」を定める必要があるのです。
全員に製品・サービスを売ることはできない
ターゲットを作る上で気をつけたいポイントが「全員に売ることはできない」という鉄則です。
市場にいる人全員が買ってくれるサービスがあれば夢のようですが、現実はそううまくいきません。
「誰かから好かれるサービスを作ることは、誰かから嫌われるサービスでもある」ことを踏まえて、ターゲットを設定していく必要があります。
ターゲットを決める際、すでに既存の商品やサービスについて検討するなら現在のユーザーを優先的にリサーチします。
まだ発売されていない新商品や新サービスについての検討なら、類似サービスなどから市場にいる人を調査していきます。
そのうえで、ユーザーをいくつかにタイプ分けしていきましょう。
たとえば、「グルメ口コミサイトを使う人は30%が都心部に住むラーメン好きの40代男性、次に20%が地方の家族で外食する30代男性、10%が……」といった具合です。
ターゲットの段階では、年代・性別・居住地程度の大まかなプロフィールが見えていれば問題ありません。
3. 【テンプレート付き】事例で見るペルソナの作り方
ターゲット作成によって誰を狙うかが決まったら、次にターゲットをペルソナへ落とし込んでいきます。
たとえば、「オンラインヨガ教室」のペルソナを作るとしましょう。
ターゲットユーザーへのインタビュー調査をもとに、以下のテンプレートを埋めていきます。
ライフスタイルをチームで話し合う
現在の利用状況から、サービスを知ったきっかけ、サービスをどこまで知っているかといったことについて記載していくことで、「架空のユーザー像」が自社をどう捉えているか、正確に理解できます。
なお、右側の定性情報は、その時の状況や案件の性質によって、より適切な項目に設定する必要があります。
理想的なペルソナ事例:Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)
ここで、理想的なペルソナを作った事例を紹介します。
都心部を中心に展開するスープ専門店「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」は、ターゲットユーザーを決めたあとに「秋野つゆ」と名付けたペルソナを作りました。
そして、秋野つゆさんなら「フォアグラよりレバ焼きを頼む」「プールに行ったらいきなりクロールから始める」など、一見するとサービスに関係ないところまでペルソナの詳細を決めたのです。
この結果、どのチームメンバーも「秋野つゆさんなら、どんなUXデザインを求めるだろう」と想像しながらウェブサイトを作ったり、「秋野つゆさんなら、どんな内装を好むだろう」と店舗デザインを決めたりできました。
スタイルにブレがないマーケティング手法は、まさに「秋野つゆさんタイプ」の女性へ受け、売上アップに繋がったとされています。
ペルソナを作る際は、秋野つゆさんほどの詳細を作るつもりで挑んでいただければと思います。
4. 【事例つき】ペルソナを作る上での失敗3選
ではここで、ペルソナを作る上でのよくある失敗例を紹介します。
ペルソナを実際に作り始める前にご覧いただくことで、失敗を避けていきましょう。
失敗あるある:ペルソナを作りすぎてしまう
先程、ペルソナは「細かなところまで設定する」とお伝えしました。
しかし、あまりにも細かすぎるペルソナは、チームメンバーが情報を整理しきれない「設定過多」の状態を招きます。
あくまでも、UXデザインに必要な範囲内の、それでいて人となりが分かるようなペルソナ設計をしていきましょう。
ペルソナを書き込みすぎないよう、弊社のテンプレートをまずは使ってペルソナ作成することをおすすめします。
【DESIGN α】ペルソナ テンプレート
失敗あるある:ペルソナを作って満足してしまう
続いてよくある失敗が「ペルソナができたから」と、満足して終わることです。
ペルソナは実際のUXデザインに活かされて初めて意味をなします。
共感マップやカスタマージャーニーマップでも同様ですが、フレームワークを作ったことで満足し、その書類を寝かせても意味がありません。
何かを決めるとき、常に「ところで、ペルソナってどういう人だったっけ?」と立ち返って考えるようにできるよう、会議で気をつけていけるとよいでしょう。
失敗あるある:理想的すぎるペルソナにしてしまう
いくら架空のターゲットユーザーだとしても、妄想上の人物をペルソナにしてしまうと、存在しない相手へサービスを売ることになってしまいます。
たとえば、「恋も仕事も頑張るアラサー女性」は最もペルソナで頻出するフレーズですが、こういった女性が現実にどれほど存在するでしょうか?
「恋も仕事も頑張りたくないアラサー女性」の方が、まだリアリティがあると感じないでしょうか。
ペルソナを作るときはあくまで、ターゲットユーザーからのリサーチをもとにして作成します。
リサーチで得られなかった情報を妄想で補完しないよう、慎重にリサーチ結果を反映してください。
5. 【テンプレート付き】ペルソナの作り方を徹底ガイド!
さて、ここからは実際にテンプレートを使ってペルソナを作っていきましょう。
ペルソナを作る手順をリストアップしました。
ターゲット像をもとに「ライフスタイル」を作る
まず、ターゲットユーザーへ綿密なインタビューをします。
そして、インタビューから共通するライフスタイルを書き出していきます。
たとえば、「このターゲットユーザーは、家事のながら作業でアプリを使いやすい」といった情報や「今は自社サービスを知らないので、代わりに英語教室に通っている」といった内容を反映していきます。
ライフスタイルをある程度洗い出せたら、テンプレートに落とし込んでみましょう。
この記事では、無料でペルソナを作るテンプレートをDLしていただけます。
ペルソナを作るときは、典型的な外見の写真・名前・年齢・性別・職業なども足していくことで、誰もがこのペルソナを想起しつつUXデザインを進められるよう設計しましょう。
【DESIGN α】ペルソナ テンプレート
続いて、ペルソナのライフスタイルをチームで話し合いましょう。
そして、リサーチをもとに「◯◯さんなら、もっと起きる時間は遅いはずだ」「◯◯さんの典型的なサービスを知るきっかけは、友達の口コミだと思う」と決めていきます。
このとき大切なのが、妄想ではなくリサーチをもとに詳細を詰めていくことです。
典型的なターゲットユーザー像からペルソナが外れないよう、細心の注意をはらいます。
ペルソナを知らない人に見せて「実在の人物を想定できるか」確認
ペルソナの草稿ができたら、知らない方へペルソナを共有します。
そして、「実際にこういう人がいると思えるか」をチェックします。
内輪のメンバーだけで作るペルソナは、つい美化された人物像になりがちです。
ペルソナの理想化を避けるために、何も知らないスタッフや、家族などにペルソナを見てもらうのがよいでしょう。
ペルソナを社内に広め「ものづくり」の基準にする
ここでペルソナ作りを完了し、UXデザインやWebデザイン、そしてリーフレットや告知ページなど「ターゲットユーザーが目にするものすべて」を作る基準にペルソナを置きます。
ペルソナが気に入りそうなものだろうか、どこがグっと刺さるだろうか……と考えながらデザインを決めていくことで、思い込みに左右されることなく、ニーズに沿った、ブレないデザイン設計が可能となるのです。
6. ペルソナだけでは戦略として不十分な点に注意する
ここまで、ペルソナの概要と作り方をご案内してまいりました。
最後に大事なポイントとして、ペルソナ「だけ」では戦略設計に不十分であることも、お伝えいたします。
ペルソナは架空のターゲットユーザー像を書き起こしたものですが、UXデザインに必須となる「どのタイミングで、何を考えているか」はわかりません。
サービスを使うフェーズごとに何を考えているかを想起するためには、カスタマージャーニーマップが適しています。
【テンプレート付】カスタマージャーニーマップで現状分析!課題出しからあるべき姿の導き出し方まで解説
カスタマージャーニーマップの作成方法を基礎的な部分から知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
また、ペルソナだけではターゲットユーザーがどういう感情でサービスに共鳴してくれるのか、どういった不満を抱いているかなどの情報も不足しています。
これらを補完してくれるのが、共感マップです。
カスタマージャーニーマップや共感マップも駆使して、優れたUXデザインを作っていただければ幸いです。